東京でジャズピアノのレッスンをしています、ジャズピアニストの河野祐亮です。
今回は、これからジャズピアノを習ってみたい方や入会を検討していただいてる方に向けてジャズピアノのレッスンではどんなことを扱い、何を目標にしているかを紹介していこうと思います。(詳しくは体験レッスンや入会後のレッスンの中でも話します。)
まず、ジャズピアノのレッスンは
「他の楽器とアンサンブル(セッション)できるようになることが目標」
になります。
ジャズという音楽は「スタンダード」と呼ばれるジャズの名曲たちを、リハーサルも無しに話したこともない会ったこともない(もしかしたら話す言語も違うかもしれない)人といきなり演奏することを習慣にしています。もし知らない曲をやろうと提案されても、いきなり渡されたメロディとコード進行だけが書かれた楽譜(リードシートと呼びます)を頼りに演奏することを要求されます。それが文化であり、みんなでこれからジャズという名前のゲームを始めるようなものだと思ってください。
それが前提にあると、大きく以下の技術が必要だとよくレッスンで話しています。
必要なこと① ピアノを呼吸しているかのように自然的に弾けること。
他の楽器の方と音で「会話」するように演奏していきます。楽譜を見ながら弾く余裕もないほどに演奏中はベーシストもドラマーもその他楽器の方も音でたくさん話しかけてきます。そんな中で指が動かないから遅れちゃうとか、鍵盤をガン見しながらじゃないとピアノ弾けないなんて状態ではとても他の楽器の方との会話はできません。ピアノが体の一部になるくらいコントロールできる状態を目指して練習をしていきます。(スマホのフリック入力くらいの感覚で伝えたい音を弾ける)
必要なこと② 止まらないで演奏できること。
①と重複する話かもしれません。例えば、自分の苦手なタイミングだけゆっくり弾いたり、一回演奏を止めて弾き直したり。一人で演奏しているならばそれは許されるのかもしれませんが、アンサンブルでは出来ません。みんな弾き始めたテンポは基本的にずっとキープされます。ここがとても重要なのですが「仮に間違えてしまっても止まらない、前に戻らない。むしろ間違えてしまったり演奏する手を止めてしまったら、みんなが弾いてる場所を先回りしてアンサンブルに追いつく」ことが大事です。おそらくクラシックピアノには無い感覚だと思います。これは何度も人と演奏することでしか身につかない技術なので、レッスンで一緒に演奏することで強化していきます。
必要なこと③ ルール(巷では音楽理論と呼ぶ)に従った音を選択して演奏できること。
ジャズを勉強したことがない人が初めて「即興演奏(またはアドリブ)」という言葉を聞いた時に受ける印象って多くの人は「適当に何でも弾いていい」と考えているのではないでしょうか。それはテレビなどで俳優さんがドラマのシーンで台本に無いものをセリフで言ったとき「あれは即興(アドリブ)」だよ!みたいなことを話しているものを受けて、視聴者である多くの人が 「どんなことを言ってもいい=何を弾いてもいい」→アドリブ!と思っているのではないでしょうか。(すみません推測です笑)
ただジャズの即興演奏には実は色々な意味があって、レッスンではその中でも「客観性のある即興演奏」というものを弾けるようにしようねと話しています。
難しい表現で申し訳ないのですが、もう少し噛み砕いて言うと「そのアドリブがいまどの箇所(小節)で弾いてるのか誰が聞いても分かるように」弾くのが大事だと教えています。適当にぐちゃぐちゃーーと弾いても一緒にアンサンブルしているメンバーがどこを演奏しているのか分からなくなってしまったら、かっこいいとか素晴らしい以前にアンサンブルの破綻です。
そこで大事なのがルールに従って音を選ぶということ。ルールがあるからこそみんなでゲームが共有できる。それはゲームも音楽も一緒なんですね。そんな音楽上のルール、すなわちジャズの音楽理論を実際に演奏で運用できるように学んでいきます。
必要なこと④ 自分の音より他人の音を聴けるようにする。
これも前に書いたことと重複しますが、大事なのは演奏中はみんなで「音で会話をすること」です。
自分の話(音)ばっかりで、他の人の話を聞かない。せっかく恋愛の相談を受けたからアドバイスを返したのに、自分の答えは決まっててこちらのアドバイスなんか全く聞いてない。ただ自分の話を聞いて欲しいだけ...なんてそんな会話うんざりしますよね。(脱線笑)
なのでアンサンブルも他人の音を聞きながら演奏することで初めて「楽しい音楽」空間になりますし、その演奏を聴いてるオーディエンスも楽しい気持ちになるものです。ただ、どうやったら演奏しながら他人の音を聴けるようになるのか。それは「自分の演奏を無意識化」しなくてはいけません。詳しくはレッスンでお伝えしていこうと思います。
最後に
いかがだったでしょうか。書店で売っているジャズの教則本には書いていないような内容だったと思うので、最初に抱いていたジャズピアノのレッスンのイメージが変わったかもしれません。ただ、その一つ一つには地道な基礎練習も含みますし、細かい内容は省いているので大きな枠組みだけを書いてみました。
そして最後に、アンサンブルできるようになって何があるんだよ!と言われてしまいそうなので例をあげてみます。
1.仲良くなったセッション仲間と定期不定期でセッション会を自主で行う
2.上手く活動が続いたらバンドを組む
3.ジャズフェスティバルに応募して街角ライブに出演する
4.そこまでいかなくとも仲間とたまに音楽談義飲み会する
5.海外旅行に行った際にジャズクラブに行き、ジャムセッションに参加してみる
などなど、大人になってなかなか生まれにくいコミュニティや出会いがあるかもしれません。日々の練習は孤独かもしれませんが、そういった中での仲間たちはきっと同じ境遇だったり同じ話題で盛り上がれるかもしれません。真剣であるが故に分かちあえる、そんな紳士淑女が集まる素敵なコミュニティがたくさん生まれるように僕もこれからもレッスンや自身の練習もがんばっていこうと思います!みんなに練習量負けないぞ!
河野祐亮
※今回の内容は動画でも解説しています、あわせてご覧ください。
【河野祐亮ジャズスクール】
東京都板橋区 ジャズピアノのレッスンを中心に音楽を楽しめる教室です。小竹向原駅徒歩3分。
ジャズピアノ、クラシックピアノ、キッズピアノなど皆様の演奏してみたい音楽に合わせてレッスンをしています。オンラインレッスンにも対応しています、無料体験レッスン受付中ですので気軽にお問い合わせください。
2014年秋にNYから帰国して2025年現在に至るまで、およそ300名ほどの生徒様にレッスンを行なってきました。多くの方が他の楽器と演奏できるようになったり、ライブ活動をするまでに成長してくれました。中にはプロミュージシャンになってくれた方もいます。現在生徒数は80名ほど在籍していますが、入会希望者の半分はピアノ未経験の方や初心者の方ですのでどんな方でも大歓迎!人生の趣味として長く続けて いきたい方、大人の社交の場としてジャズをみんなでアンサンブルするなんていかがでしょうか。
全てのレッスン受講生を全力でサポートしています!レッスン生を募集しています、いつでも気軽にお問い合わせください。
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